納め・る祭 感想第2弾

ヨン様について雑感。




中の人の推しとか外の人の推しとか色々ありますけども*1、すべて取っ払って「納祭の推しキャラ」となると、ヨン様です。いやあの気持ち悪さに対する萌えは結局中の人萌えでしょうし、あの気持ち悪さがなければヨン様はあんなに魅力的なキャラクターではなかったでしょう、けれども私はやっぱり中の人推しや外の人萌えを飛び越えて、ヨン様が好き*2


素直なキャラクターだから、好きです。アテルイよりも誰よりも素直だから、好きです。アラハバキ様がアテルイを愛でることに文句垂れてアテルイ去ね*3と叫ぶのはアラハバキ様を一人占め(?)したいからで、それ以上でも以下でもなくて、つまりアテルイそのものが憎いわけではない。アテルイを憎んでいるわけじゃないから、アテルイ*4の覚悟を知ってそれは違うと思えば、止めるために走る。そのまっすぐさと、アテルイの選択を誤っていると思う心が、好きです。


蝦夷軍は結局のところ「アテルイに背負わせた」わけで、「アテルイを生け贄にした」わけで、だから彼らは背負わせたことを背負って生きていく。けれども、ヨン様蝦夷軍とは立場が違う。そもそもあの人は「ミコ」で、あの集落からは一歩(半歩?)引いた立場だ*5。だから、ヨン様の責はヨン様一人で背負うもの。アラハバキ様を呼べるのは自分だけであり、呼ぶ時には当然自分が関わっている。つまり、そもそもアラハバキ様がアテルイを見初めたのは、そもそも自分が呼んだからなのである。そして、アテルイが力をなくした時、アテルイが力を取り戻した時、(不本意であれ)アラハバキ様を呼んだのは当然自分なのだ。自分があの日あの時アテルイと出くわさなければ、いくらアテルイが望んだとてアラハバキが現れることも契約をすることも不可能だった。自分があの場にいて、アラハバキに会いたいと言うアテルイと会ってしまったからこそ、彼はあんな無茶苦茶を言えたのだ。


ま、アラハバキからして見れば、そんなのは根本的に間違っているのだろうと思います。ヨンがいなくたって、何かしらの方法で同じ道を辿っていたでしょう。ただ、ヨン様の立場からしたら上述のように思えるのではないかと思うのです。アラハバキ様がアテルイを見初めなかったら。アテルイの馬鹿力が初めからなかったら。アテルイひいては胆沢にアラハバキ様のご加護がなかったら。そうであったなら、そもそもこの戦はこんなに長引かず、あっという間に朝廷軍に破れあのような戦いにはならずアテルイも苦しまず胆沢からアラハバキ様もアテルイも奪うようなことはなかったのではないか。もしくは、アテルイアラハバキの契約について唯一知っていた自分が、もっと早くに決断して動いていたら、やはり結果は違ったのではないか。…大分ヨン様に夢を見始めていることは自覚しています。でも楽しい。妄想が止められない(干し飯もぐもぐ)。


さてさて、いや、まあ間違ってるよ。たぶん、その「もし」の世界でもアラハバキは消えたし、アテルイも死んだしもっと言うなら胆沢はなくなったと思います。ましてや、アラハバキアテルイの契約後では、今さらヨン様が何したところで運命は変わらなかったでしょう。問題はそこではなく、遠く近く色々な「もし」についてヨン様が思いを馳せるとしたら、それを共有できる人はいないというところです。ヨン様の「罪」を分かち合い、共に背負える人はいないのです。どうだ萌えるだろう(ひどい)。


素直で、好きも嫌いも嬉しいもいやだもまっすぐで、アテルイを止めるために駆けられるヨン様が好きです。アラハバキ様の「狐や狸に化かされるなよ。すべてをさらけ出しても恥ずかしくない心を持てよ*6」という最後の言葉を頂戴したヨン様は、あのあとどのような人生を歩むのだろう。それが気になってたまりません。ので、上映会でアテルイヨン様のリーディングプリーズ。アラハバキ様も、とか贅沢言わないから*7


さて最後に、これ書きながら新たに思い付いたこと、それから観劇中に思ったけれど上記とは話題が異なるので書くのを保留にしたネタを箇条書きにしておきます。機会があれば考えたいけど、今書かないと忘れてしまいそうなので。

  • いろいろ自分に都合の良いように妄想したけれど、ヨン様アテルイを止めようとしたのって単純な「アラハバキ様を生かすため」とも考えられるよね…(目逸らし)
  • 「ヨン」って、「ヨぶ者」なんだなあ。いや「サン(もののけ姫)」からの「ヨン」だってのは分かってるし、多分それだけなんだろうけど!
  • ヨン様も、ある意味で全ての声を聞くことができるキャラクターだな…!? 人間のというよりは森や動物の声を、って感じだけど。
  • ヨン様女性説(こう書くとアレですし最終的には男だと思っていますが、劇中で「ミコ」と紹介された東北の「シャーマン」っていうのがどうしても引っかかる)(一応サンによそえられているし、「黙れ小僧、お前にヨンが救えるか」だし(言いたいだけシリーズなんだろうけどー!))


以上です。アテルイの考察ももっとしたいし、アラハバキの考えももっと掴みたいし、田村麻呂はなんか可哀想すぎて脳が考えるのを拒否しているけど、あと桓武周りの日本史をもっと勉強して無理矢理いろいろ繋げて一人で楽しみたいのに、ヨン様が好きすぎて妄想が止まらなかった。レッツ咀嚼。ま、もうしばらくは納祭を楽しみたいと思います。まずはヨン様の残りの項目について考えよう。

*1:むしろるフェアと納祭に関しては外の人推しの方が強い傾向すらある。特にるフェア範頼萌えはたいそう盛り上がりましたありがとうございます範頼様出してくれて本当にありがとうございます。

*2:そもそもヨン様は歴史上の人物ではないのだから、「外の人萌え」も何もないのだけれど。まあ言葉のアヤです。

*3:そこまでは言っていない。

*4:アラハバキ

*5:これに関しては、古代集落とシャーマンの関係がどんなものかを知らないので、完全に物語上のことです(勉強不足)。ヨン様は山で生活していて、滅多なことではムラには降りてこない。

*6:記憶曖昧

*7:いずれにせよ絶対ないの分かってるけど! リーディングやるならまずは田村麻呂とアテルイだし、他あるとすれば田村麻呂と綿麻呂、アテルイとモレでしょう分かってる。あとはアタカラとアテルイとか、変化球で物部兄弟かきのこたけのことか。