死こそ常態

「その時」は、先週の日曜日、10月28日の朝7時50分頃でした。我が家のお犬様、柴犬(メス)が息を引き取りました。あと1週間と1日後に、17歳の誕生日を控えていました。ほんの一日前に、市の動物協会から長寿の表彰状をもらったところでした。残念半分、でも柴犬の平均寿命が大体13〜15歳くらいとすれば、うん、なかなかの長寿だったのだと思います。


ハイクの「うちの犬」にときどき出没させておりました、だって可愛いからさー(笑)。あと、「柴犬、秋田犬、甲斐犬などが好きな人は私のもとへ集まりなさい!以上。」でもハイカーの皆様に可愛がってもらいました。お星様いっぱいもらった。舌出し写真には、現在29個のお星様をいただいております(確認済)(笑)。ハイカーさんはぬこ様派が多いイメージなので、ぬこ様写真のほうがお星様たくさんもらえるんだけど(笑)、それでもこのお犬様は、たくさん可愛がってもらいました。


ちゃんと、私の願いどおり、家族がみんないる時間帯に決着をつけてくれました。両親は家にいるのが通常だけれど、私と妹は勤め人です。家にいる時間のほうが短い生活だから、なかなか難しいのは承知で、でもワガママが叶うなら、「その時」はみんながいる時であってほしかった。妹は珍しく日曜出勤だったけれど8時に家を出ればよくて、私は逆に珍しく休める日曜日で、バッチリ休む気満々だった。つまりは、「その時」みんな家にいた。すごい。そのあと妹を駅まで送って、戻ってきて、火葬してもらう業者を決めて、ちょっと混んでるからって17時からになって、そのあとはリビングでテレビ見たりコンビニ行ったりお昼買ったりリビングで雑誌読んだりテレビ見たり、お犬様撫でながら。いくら可愛くても、死体には触れないだろうと思ってたんだけどなー、だって剥製だってさわるの嫌だもの。だのに、よく見知った躯ならいやではないみたいで、そんなことを今更初めて知りました*1。それに調子をよくして、ことあるごとに一日中とりあえず撫でてみました。体毛があるから、あんまり骸って感じがないのね。あとは、確かに硬直してはいるんだけど、耳なんかは筋肉がないらしく*2そのままの柔らかさだし、ここ最近は寝てばっかりだったから風景として大して変わらんわwっていう残念な事実もあったりして(笑)。だから、業者さん待ちの間、ダラダラと昼寝したりなんだりで過ごしました。撫でて、撫でて、もう二度と触れないって思うと、いくら撫でても足りなかった。


私の生活って、土曜も日曜も出勤!な時期が多いし、休みっつっても仕事に追われて結局部屋でヒィヒィ言ってる時も結構あるしで、だから、こんな風に一日かけてゆったりとバイバイできたのが、本当に、奇跡に近い。初七日である今日までの一週間も、毎日出勤はしたけれども実は本当に偶々に月木は臨時休業日*3で通常業務はなくてとても楽で、定時上がりも余裕で、通常営業日も今週は比較的仕事が楽で、要は、悲しむ時間がたくさんあったのです。そして、私より誰よりずっと悲しんでいる母を労る時間も余裕もあったのです。狙っていたとしか、言いようがない。それを、とても幸せだと思う。最後まで、おりこうさんでいい子だったのさ。


で、翌日には写真立てを買いに行ったり、本屋への用事ついでに、偶然見つけたこれ↓

うちの犬、知りませんか?

うちの犬、知りませんか?

を買って読んで*4 *5ピイピイ泣いたり、まだ仔犬時代の頃の古い写真から成犬時代の写真からごく最近の写真まで、ずーっと引っ張りだしてきて家族みんなであんなこともあったね、こんなこともあったねと昔を語り合ったり、そんな時間を過ごすこともできました。最後まで、最後まで、本当におりこうさん。


ハイクでぼんやりと妹を亡くした時の小野篁の和歌*6を引きましたが、まさにそんな感じで、この初七日中はずっとさめざめさめざめ。まあ、さすがに寿命ぎりぎりのばあちゃん捕まえて、戻ってこいとは言わんけど(笑)。イヌだしね。イヌですしね。イヌですからね(笑)*7。お骨がだいぶん黄色くなってて、曰くそれは「長寿を全うした時だけこのような色になる」とのことですし*8、連れ戻したら可哀想よね。せっかく美しく逝けたんだしね。あっちで、先に逝った2号とまた仲良くしててください。君たちお互いしか友達いないんだから(2号もしばらく独りだったけど、もう寂しくないねー)。


しかし、2号の時といい、今回といい、すっかり「私が写真撮ると翌日死ぬ」というジンクスができあがってしまったよ。二匹とも、死の前日の写真が残っているのは、私のおかげです(開き直り)。ま、霊感皆無な私も、こういう時は動物的な勘で何かを感じ取っているんですヨ、きっと。それも、お犬様たちからの贈り物だと信じている。

「その日」の前日。母に抱かれて。

同じく前日。だいぶん元気がなかったけど、こんなもんと言えばこんなもんだったのかなあ。それすらもよく分からないくらい、介護には参加できてなかったよ。*9


次に会えるのは、何年後かなあ。そんな、らしくもないナンセンスなことをぼんやりと呟いてしまうくらいには、まだしくしくしています。何せ、今現在までまともに交流のある友達の誰よりも長いつきあいでしたから。もうしばらくは、弔いがてら、しくしくしていようと思います。いや普通に生活しますけどね、元気なんですけどね、明日もニチアサ部ですしね、エイトのライブも行きたいしね、里見八犬伝のお芝居のチケットも取ってありますしねってまたイヌ……!!(がびん)(笑) 書くと、しみじみしてしまったいけません。書き上げるのに、結局初七日までの一週間まるまる使ってしまったよ(苦笑)。


とてもとても病的に忘れっぽい私ですので、お犬様のことは忘れないよう、よくよく色々思い出しながら生きていきたいと思う所存であります。今生など、一瞬に過ぎぬうたかたの世。「生は、いとしき蜃気楼」 *10。また、いつかどこかで。


【補足】「その日」の横浜の空に関するデータ。
日の出 5:59
日南中時 11:25
日の入り 16:51
月の出 15:48
月南中時 22:27
月の入り 4:16
正午月齢 12.6

*1:前回のお犬様サヨナラ時は、温かいうちにバイバイ(出勤)して、帰ってきたら焼き上がってたもので

*2:軟骨と脂肪だけ?なのかしら。

*3:と言う表現が正しいのかは分からないけれど、とりあえずお客さんが来ない日

*4:大体同じ年頃に犬を飼い始めて、同じ年頃で「その時」を迎えたと知って、つい。ムクちゃんの他人に懐かないところとか、水にじゃばじゃば入って楽しそうなところとか、その他細かいところが、ウチのお犬様と結構似ていて、それがまた涙を誘う。

*5:調べて、発売日がうちのお犬様の「その時」の前日と知り、更にびっくり

*6:泣く涙雨と降らなむ渡り川水まさりなば帰り来るがに(古今集829番)

*7:悲しいのは事実だけれど、ペット葬儀屋さんのあまりに芝居がかった「○○ちゃん、……ありがとう」にはちょっと噴き出しそうになりました、ええ。頭のどこかで、「…イヌwでwすwよw」って思っちゃいるんで。

*8:髄液が回り回って最終的に骨に付くとのこと。(そんな話を興味津々に聞く家族…)

*9:ちなみに、フォトライフには「その時」後の写真もこっそりあげてあります。さすがにダイアリやハイクには載せませんが、もしよければ見てやってください。私の自己満足ですが!(てへぺろ

*10:茨木のり子「桜」より(日記タイトルも同様)